中東では、女性が車を運転する権利を求める運動「Oct26 Driving」のオンラインキャンペーンが、繰り返し妨害にさらされており、公式サイトhxxp://www.Oct26driving.com を含むウェブサイトが数日間に2回改ざんされるなど、サイトやアカウントが何度も不正侵入されています。そして、それに続く妨害工作も明らかになり、ハッカーは、サイトを改ざんするだけでは気が済まず、マルウェアを作成、拡散させて自分たちの主張を広めようとしています。そのようなマルウェアの1つがMcAfee Mobile Securityによって「Android/HackDrive(アンドロイド/ハックドライブ)という名前で検出されました。
このマルウェアは、Oct26Drivingのオンラインキャンペーンを支援するアプリを装っており、同キャンペーンの象徴となっているアイコンまで使用しています。偽のアプリの配布元となっている不正侵入/改ざんされたウェブサイトに表示しているのと同じ憎悪プロパガンダを広めることを目的としています。
インストールされたマルウェアは、デバイスにヘッドホンのプラグを差し込むと動き出します。そして、いきなり事前に設定された音声シーケンスを繰り返し再生し始めて音声を妨害し、ユーザーはそれ以外、何も聞くことができず、また電話で話すこともできなくなります。さらに、不正侵入されたウェブサイトで使用されたのと同様のアラビア語のメッセージが表示されます。
興味深いことに、この不正コードにはさらに別の機能があることも判明しました。このアプリには、感染したデバイスの連絡先データベースから氏名や電話番号を探し出し、さらにそのデータをリモートのウェブサイトに投稿させる機能もあるのですが、奇妙なことに、そのためのコードはあるものの、実際にはアプリはその機能を呼び出しませんでした。そのため、これは開発中の未完成品であり、将来のバージョンで機能が追加されるのではないか、との憶測を呼んでいます。
アプリに仕込まれた奇妙な動作やウェブサイトの改ざんは、一見すると幼稚に思えるかもしれませんが、これは間違いなくアプリという形で表現された憎悪であり偏見です。マカフィーでは事態の進展を注意深く見守るとともに、ユーザーに対しては政治運動や社会運動に関連したソフトウェアをダウンロードするときにも細心の注意を払うように推奨しています。
※本ページの内容はMcAfee Blogの抄訳です。
原文:Mobile Malware used in sabotage campaign by hackers in the Middle