これまでMcAfee Blogで何度か取り上げてきましたように、インターネット上には、スケアウェアと呼ばれる偽ウイルス対策ソフトが蔓延しています。この種のトロイの木馬は、ドライブバイ・ダウンロードや検索エンジン最適化(SEO)ポイズニング、スパムキャンペーン、悪質なソーシャルエンジニアリングといった手口を多く使用しています。今回は、感染手口ではなく、偽ウイルス対策ソフトがウイルス対策ベンダーからの検出を避けるために採用している回避策について、詳しく解説をします。
無意味な命令挿入で難読化したコード
上記スクリーンショットは、意味のある命令の間に大量の無駄なコードが挿入した例です。意味のない命令を入れる手口は、多くの偽ウイルス対策ソフトで使用されています。
不必要なAPIの呼び出し
上記スクリーンショットは、このコードで必要のないAPI「SetArcDirection」を呼び出した例です。不必要なAPIは、解析などを目的とするエミュレーションの対抗手段として、マルウェアが使用しています。マルウェアの中には、エミュレーションされているかどうかを確認するために存在しないAPIを呼び出すものもあります。
専用パッカー
偽ウイルス対策ソフトの多くは、専用パッカー(暗号化ルーチン)を使用しています。既存のパッカーを改造して使うマルウェアもあります。
XMMレジスタとMMX命令セットの使用
偽ウイルス対策ソフトの多くは、コード内では必要ないXMMレジスタやMMX命令セット、浮動小数点演算プロセッサ(FPU)命令セットを、他の無意味なコードとともに使用しています。
今回紹介した回避策は、特別に新しいものではなく、よく知られたマルウェアで使用されています。偽ウイルス対策ソフトは、持っている能力を最大限発揮させる目的で、亜種を作るごとに、この種の防衛策を使用します。アドウェアとスパイウェアが減少傾向にある状況の中で、偽ウイルス対策ソフト系トロイがインターネット界の悪者と呼ぶべき存在となってきている、と言えるでしょう。
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関連情報
※本ページの内容はMcAfee Blogの抄訳です。
原文:Rebranded Rogue Anti-Virus Strikes Again