※本記事は、マカフィー社 CTO兼エグゼクティブバイスプレジデント George Kurtzによるものです。
5月11日、Google社は、Linux ベースの Chrome OS を搭載し、Web ブラウザ「Chrome」を利用したノートPC「Chromebook」を発表しました。この「Chromebook」はセキュリティが最初から考慮されており、常に最新の状態に自動で更新されるため、アンチウイルスベンダーの終焉を意味するものであると報道されました。
多くのアナリストはChromebookを、「ポストPCデバイス」と呼んでいます。Chromebookは、Webブラウザ専用デバイスのため、アプリケーション実行は概ね制限され、ウイルスやワームなどの不正ソフトウェアは阻止されます。多くのアナリストが、ポストPCデバイスの販売数は、従来のPCの売れ行きを上回るものと想定しています。
『フォーブス』誌ライターのアンディ・グリーンバーグ(Andy Greenberg)氏は先週、ポストPCデバイスの多くは同時に「ポストアンチウイルス」としても存在するため、「ウイルス対策ベンダーにとっての障壁になるかもしれない」と述べました。同氏の見解はまさに真理を衝いている可能性があり、ユーザーは、ウイルス対策を必要としなくなるかもしれません。ただそれは、セキュリティが不要になるという意味ではありません。従来のパターンマッチング型のブラックリスト方式ではなく、リストにない実行コードの実行をブロックするホワイトリスト方式が、ポストPCデバイスには適した手段であると考えられます。マカフィーでは、このポストアンチウイルスの世界に全力で取り組んでいます。そして世界は変化しても、サイバーセキュリティは必需品であり、むしろ重要性を増すであろうと確信しています。
恐らく多くのユーザーが、Chromebookでネットサーフィン中に、安全を確保し、不正なWebサイトをブロックするために接続するインフラストラクチャーが欲しいと思うことでしょう。また、自分の個人情報が保管されているデータセンターは、きちんとした防護されるべきと考えるはずです。一方で企業は、従業員がChromebookで会社のWi-Fiネットワークを使用しているのか、また他社のリソースにChromebookでアクセスしていないかなど、知りたいと考えています。
アンディ・グリーンバーグ氏は、「ポストPCの深刻な問題」について語りながらも、PCの域を超えた世界はむしろ大きなチャンスだとしています。このチャンスは、携帯電話会社やハードウェアメーカーなどの世界中の多数の企業とのパートナーシップを通じることで、すでにマカフィーにプラスの影響をもたらしつつあります。実際に、過去数年にわたって、マカフィーは、ウイルス対策ソフトに焦点を当てた会社から、総合的なサイバーセキュリティに焦点を当てた企業へと変貌を遂げてきました。また、PCセキュリティや単なるウイルス対策の先を歩み、無数のエンドポイントデバイス、ネットワーク、クラウドの安全を確保してきました。事実、マカフィーのエンドポイントのウイルス対策の事業全体に占める割合は次第に縮小しています。
どんな形でもサイバー犯罪の増加ペースが鈍ることがなかったのは、新しいデバイスやガジェットが次々と登場してきたからです。潜在的ターゲットの数が増えたことで、サイバー犯罪の増加傾向は加速されました。今後10年の間に、インターネット接続デバイスの数は50倍に増加し、手強いセキュリティや管理上の課題が生じると言われています。マカフィーは、インテルグループの一員として、新たに生じるセキュリティ課題に備えると共により一層の革新を図り、ポストPC世界に新しい技術を提供していきます。
※本ページの内容はMcAfee Blogの抄訳です。
原文:Security In The Post-PC World