インテル社+マカフィー社:セキュリティの活性化に向けた4つのポイント

※本記事は、マカフィー社 CTO兼エグゼクティブバイスプレジデント George Kurtzによるものです。

マカフィーがインテル社によって買収される正式契約を締結したことは、既にご存じだと思います。提案されているインテル社とマカフィー社の統合の目的は、ソフトウェアと半導体チップを合体させることによって、エンドポイント、モバイル、組み込みデバイスに対し、より確実な保護を提供すると同時にその効率を高めるという難題を解決することです。

マカフィーは、ソフトウェアによるエンドポイント保護やネットワークセキュリティ技術という中核的なセキュリティ事業から離れようとしているのではありません。ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたソリューションにより、あらゆる顧客のセキュリティ向上に貢献したいと考えているのです。

マカフィー社とインテル社の顧客が考慮するべき重大なポイントとして、以下の4つがあると考えています。

1) モバイルデバイスと組み込みデバイスのセキュリティ
2年以上も前からマカフィーは、数十億台も存在するモバイルデバイスと組み込みデバイスについて、これらがサイバー犯罪者の標的になりえるほどに高度な機能を備えつつあり、従来の手法ではこれらを十分に保護することはできないと認識していました。PCに常駐させる旧来のウイルスエンジンは、モバイルデバイスや組み込みデバイスにおいては、決して効果的ではありません。コピー機、通信機能付きのスマートメーター、医療機器といった接続機器は、ホワイトリスト方式など、少ないメモリー使用量やCPU使用率に最適化した保護が必要です。なおマカフィーは、動的なホワイトリスト技術のリーダー企業であるソリッドコア社を買収しています。インテル社もマカフィーも、PCの保護からあらゆる種類のモバイルデバイスや組み込みデバイスの保護へと、重点を移すことに大きな機会があると考えています。インテル社傘下のウィンドリバー社の技術とソリッドコア社の技術を組み合わせることにより、あらゆる組み込みデバイスの保護を、大幅に強化することが可能であると考えています。同時にこれは、今後のセキュリティ市場の成長を牽引する原動力であり、当社は市場において戦略的な位置を占めることが可能と考えています。

2)スタックを下に移行するセキュリティ技術
次世代のセキュリティ技術を生み出すのは、ソフトウェアとチップの組み合わせです。私はセキュリティ技術も、仮想化技術が過去10年にたどったのと同様な道を歩むのではないかと考えています。仮想化技術は、まずプロプライエタリなアプリケーションとして出発して、次にハイパーバイザーに移行し、最終的にはインテル社のVT-xのようなハードウェア仮想化支援によってより優れたソリューションを提供するようになりました。ウイルス対策は、初期のデスクトップ仮想化製品のように20年にわたってアプリケーションとして運用されてきました。そして、ちょうど仮想化技術が専用ハイパーバイザーによって下位のスタックに移行したように、セキュリティ技術も同様の道を辿ると思われます。半導体チップを利用したセキュリティソフトにより、マルウェアブロックの性能と有効性はより優れたものになるでしょう。

3) セキュリティの一元管理
既にインテル社は、アクティブ・マネジメント・テクノロジー(AMT:Active Management Technology)によって、オペレーティングシステムに依存しない管理支援技術に注力しています。AMTは、インテル社のvProテクノロジーに搭載されています。インテル社は、マカフィーの買収により、セキュリティマネジメントコンソールePolicy Orchestrator(マカフィー イーポリシー オーケストレーター:ePO)を取得します。シングルコンソールのePolicy Orchestratorによって、企業は無数に存在する機器のセキュリティを一元的に管理できるようになります。

4) インテル社の買収、そのものにおける顧客メリット
マカフィーは、インテル社の完全子会社となる予定であり、今後も引き続き独立企業として営業活動を行います。これが顧客やパートナーにとって意味するところは、マルチプラットフォーム、マルチデバイスのサポートに引き続き労力が注がれるということです。サポート対象にはインテル製チップも含まれますが、それにとどまるものではありません。また、引き続きシステム事業、ネットワークセキュリティ事業およびクラウドベースのGlobal Threat Intelligence事業に注力および投資していく予定であることも強調しておきます。マカフィーはこれら3つの領域すべてに全力で取り組む所存であり、その決意が揺らぐことはありません。顧客の利益のために事業を遂行するマカフィーの能力は、インテル社の技術的なリソースを加えることによってのみ強化されるのです。マカフィーは、引き続き現在の経営陣によって運営される予定であり、今後も業界をリードするセキュリティソリューションの革新と提供に注力していきます。

インテル社とマカフィー社の提携は、マカフィーが従来のセキュリティ事業から遠ざかることではありません。むしろ、成熟したセキュリティソフトウェア技術を駆使することで、現在および将来の半導体チップのセキュリティ機能を活性化することが可能になります。その結果、エンドユーザーにとってあらゆる機器の性能と保護の両方が強化されていくことでしょう。

[レポート]クラウド環境の現状レポートと今後 ~クラウドの安全性の状況と実用的ガイダンス

 マカフィーでは、1,400人のIT担当者に年次アンケートを実施し、クラウド採用状況やセキュリティについて調査しました。
 調査の結果、クラウドの採用とリスク管理への投資を増やしている組織がある一方で、クラウドの採用に慎重なアプローチをしている組織が多いことがわかりました。
 本調査では、クラウドサービスの利用状況を分類し、短期投資の確認、変化速度の予測、重要なプライバシーおよびセキュリティ上の障害物への対応方法の概要を示しています。

 本レポートでは、クラウドの現状把握と今後の方向性、クラウド対応の課題やポイントを理解することができます。

<掲載内容>
■ 主要調査結果
■ 調査結果から言える方向性
■ 課題への対応
■ 変化への対応力
■ 考慮すべき点:安全なクラウドの採用で事業を加速