しつこく続く女性狙いのメール副業詐欺

※本ブログは、Mobile Malware Researcher 中島大輔によるものです。

相談相手やメル友が欲しい男性のメール相手になることで収入を得る「メールレディ」や「メールカウンセラー」という在宅ワークを謳い、逆にそれらの女性に金を支払わせるメール副業詐欺は数年前から存在していましたが、今でもなお詐欺業者はターゲットを探し続けています。これらの詐欺を行うスマートフォンアプリやWebサイトは消えてはまたすぐに現れます。これらは全て悪質出会い系業者の仕業です。


Fig.1: 女性ユーザーを狙うメール副業詐欺サイトの例

Androidアプリの公式マーケットであるGoogle Playストア上では、既に2012年頃からこれらの副業詐欺アプリが公開されてきましたが、すぐに削除されては別の開発者アカウントおよびアプリ名での公開が繰り返されてきました。今年の5月に入ってからも20個ほどの詐欺アプリがストア上で公開されています。怪しいスパムメール経由ではなく、公式のアプリストアで公開されているということから信用してしまう女性もいるのではないでしょうか。アプリによっては、Google Playストア上のレビューで高評価を得ているものもありますが、レビューも業者のサクラ行為によるものであり、また、Google Playのポリシーに反し、不当にレビュースコアを上げているものもあります。これらは今や悪質アプリ開発者の常套手段といえるでしょう。


Fig.2: メール副業詐欺サイトへ誘導するAndroidアプリの例


Fig.3: Google Playストアでのレビュースコアの不正操作とサクラコメント

これらの副業詐欺アプリの実態は、悪徳業者が運営している悪質出会い系サイトです。副業サービスへ登録するとすぐに、出会い系サイト経由で経済的に余裕があると謳う男性(実際は運営者側のサクラ)からメッセージが届き、相談相手やメル友になることで多額の支援金、例えば一か月に数百万~数千万円を支払う旨が伝えられます。数回メールのやり取りをすると、支援金の受け渡しのためにサイトに登録料を払い正規会員になる必要がある、あるいは、直接連絡を取り合うためのメールアドレスや電話番号をお互いに伝えるために制限解除料金をサイトに支払う必要がある、など女性側に金銭の支払いを要求する手口です。一旦支払うと、手続きミスの解除料金や再手続料金など次々と支払要求を行います。数日で数百万円~数千万円の大金が手に入るのだからと、躊躇しながらも支払ってしまう心理を突いていると言えるでしょう。また、手続きの中で身分証明書の撮影画像の提出や報酬振込先銀行口座情報・携帯電話番号の登録などを行わせることで、支払要求に従わないと不利な立場になるかもしれないという恐怖感を与えてくるのも悪徳業者の手段の一つです。


Fig.4: 「リッチ」な男性(実はサクラ)からの高額支援金のオファーメール

Androidアプリは既存の副業詐欺Webサイトを表示しているだけであり、これらのWebサイトは検索エンジンの検索結果に表示されたり、ブログやFacebook、TwitterなどのSNSからも誘導されたりします。また、メールやSMS経由で誘導される場合もあるでしょう。したがって、全てのインターネットユーザーが注意する必要があります。


Fig.5: Twitterからの副業詐欺サイトへの誘導


Fig.6: 様々な経路で誘導される副業詐欺サイト

まともなメールカウンセラー業務を運営しているサービスもあるかもしれませんが、上に述べたような悪質出会い系業者による詐欺的なサクラ行為も多いのが現状です。リッチな男性が支払うポイント料金で女性への報酬が賄われるサービスであるとは決して思わないでください。そんな男性は存在せず、女性からサイト使用料金を搾取しているだけです。大金が転がり込むことは絶対にありません。サイト上の札束画像や嬉しい体験談などに騙されないでください。メール副業詐欺に限ったことではありませんが、業務を開始するために事前に説明のない料金を女性側に支払わせるような副業・在宅ワークサービスを一切信用しないでください。万が一、これらの悪徳業者にサイト使用料金等を支払ってしまった場合は、メールのやり取りや支払記録を証拠として残した上で、お近くの消費者生活センター・国民生活センターへ相談し返金請求を検討してみてください。

McAfee Mobile Securityはこれらの副業詐欺アプリをAndroid/DeaiFraudの亜種として検出します。また、これらの詐欺サイトへのWebブラウザ経由でのアクセスをブロックします。

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