今、世界中のほとんどの地域で、人々がスマートフォンやタブレットを持ち歩き、複数のデバイスを使い分けるようになっています。こうしたデバイスが身近になったことで、外出中でも情報を検索し、いつでもメッセージのやり取りを行えるようになりました。インターネットにつながる機能を持った家電機器も増えて、出先から自宅の家電をコントロールしたり、Google HomeやAmazon Echoなど、声で操作できるスマートスピーカーと組み合わせて活用している方も増えてきているようです。
新しいツールが普及すれば、私たちのライフスタイルも新しいものになっていきます。そして新しいライフスタイルが広がるとともに、新しいリスクもまた生じてくることも忘れてはなりません。
デバイスとインターネットがかなえる暮らしでは、どんな可能性と危険があるのでしょうか。マカフィーとMMD研究所が2018年12月に発表した「『モノ・コト』インターネットがもたらすライフスタイルの変化~日本におけるIoT意識調査」などのデータを見ながら、安全に利用するためのポイントを考えてみます。
ネットとデバイスで、便利になる暮らし
家電をスマホで操作したり、センサーや画像データから周囲の異常を検知したり、クルマの自動運転を実現したり。便利なデバイスやインターネットを上手に使い、便利な生活に役立てたいというニーズが高まっているようです。マカフィーとMMD研究所が共同で、2018年10月3日~10月5日の期間でスマートフォンを利用する20歳~69歳の男女1,000人を対象に実施した「日本におけるIoT意識調査」では、そんな様子を垣間見ることができました。
例えばデバイスを使って今後生活に取り入れたいこととして、上位の回答は「外出先から室内に関する操作を行いたい」「不在中の不安を解消したい」と利用の意向があるようです。しかし現実に利用した経験を聞くと、物品購入の用途が上位を占め、外出先から家庭の機器を操作するといったことは、まだまだこれから進んでいく段階といえます。
気になるセキュリティ面は個人の対策も重要
上記の「日本におけるIoT意識調査」では、IoT利用についてのイメージも質問しています。全体としてみると「生活の利便性が向上しそう」(46.4%)、「時間を効率的に使えそう」(37.3%)と、ポジティブな期待が多い一方で、「情報が犯罪に活用されそう」(25.8%)など、セキュリティ面を不安視する意見も一定の割合を占めました。他の設問でも、現在IoTデバイスを取り入れていない理由として「費用がかかる」「設定が面倒」といった項目に交じって、「セキュリティが不安」との意見が23.9%寄せられています。
確かにセキュリティについては、個人ユーザーも用心しておくことが必要です。マカフィーの調査(McAfee Labs 脅威レポート: 2018 年 12 月) においても、2018年、IoTデバイスを狙うマルウェアが増加していることが分かっています。
実際、過去数年の例をみても、対策の行き届いていない防犯カメラなどを乗っ取り、攻撃の踏み台にする「MIRAI」といったマルウェアが流行しました。デバイスに侵入を許せば、蓄積したデータが流出・改ざんされる可能性もあるでしょう。
こうした脅威を避けるための対策として、個人ユーザーは、「単純ではないパスワードを設定」し、OSやファームウェアを「最新版にアップデート」する習慣が大切です。保証期間内は「サポートのパッチを適用」し、「サポートが切れればIoT機能をオフ」にして、ネットワーク機能のない通常の家電製品として使うのも良いでしょう。
これらの対策は基本的な項目ばかりですが、実際にはこれをしなかったばかりに「避けられたはず」の被害に遭うケースも多くみられます。
「モノとコトのインターネット」を守るために
総務省とNICTによる大規模な調査プロジェクト「NOTICE(National Operation Towards IoT Clean Environment)」が2月20日から始まりました。自宅・オフィスのネットワーク機器を外部からテストし、サイバー攻撃に悪用されるおそれのある機器を調査し、利用者への注意喚起を行うという取り組みです。文面だけを見ると、私たちから縁遠いものに感じられるかもしれませんが、上で見てきたようなIoT時代の安全に関わっている、身近な問題をテーマにしたプロジェクトです。
これからIoT時代が本格的にやってくると、私たちの生活は大きく変わります。それは単にネットカメラやエアコンなどのネットワーク家電を便利に使うというよりも、生活の全体をテクノロジーでサポートする時代になると、マカフィーはみています。
IoTは日本語で「モノのインターネット」と訳されてきました。しかし、今後はネットワークを通したリアルタイム通信の先にどんな出来事があるのかという、「コト」の観点が重要となっていくでしょう。私たちはIoTを「モノとコトのインターネット」と捉え、総合的に安心を守るための取り組みをスタートしています。
IoTは生活全般に関わるものだからこそ、家族の安全を守るため、脅威への備えが欠かせません。一度でも家庭のネットワークに侵入されると、たとえ目立った被害がなくても、すべての機器をチェックし直して安全を確保しなければなりません。
本格的に導入を始めるなら、最初からセキュリティ対策の観点を取り入れておくとスムーズです。マカフィーでは、ホームセキュリティ製品も提供していますので、ご家庭へのIoTの導入や、対策の見直しをする際にはぜひお役立てください。
MMD研究所とマカフィーの共同調査については、下記でも紹介されています。ぜひご覧ください。
・IoTは30-40代の働き盛りの時間や行動制約を改善するソリューションとなる
・子育て世代(30-40代)の母親の育児をIoTで支えるために必要なことは?
・自分の健康と高齢の親が気になり始める30-40代がIoTに求めていることは?
著者:マカフィー株式会社 CMSB事業本部 コンシューママーケティング本部 執行役員 本部長 青木 大知