マカフィー株式会社で、CMSB事業本部 コンシューマ マーケティング本部 執行役員 本部長の青木大知です。個人向け製品のマーケティングを担当しております。
マカフィーと、モバイル専門マーケティングリサーチ機関であるMMD研究所は、2016年3月からの1年間、「スマートフォン利用者の実態と生活変容」をテーマに共同調査を実施しました。発表した調査結果は各所で取り上げられ、マスコミなどで目にした方もいらっしゃるかもしれません。
近年は急速にスマートフォンの普及が進んできました。利用者は男女問わず、子どもからシニアまで幅広い層にまたがっています。年代や性別、ライフスタイルによって利用方法も多岐にわたっています。今回の共同調査では特に情報が少ない若年層を中心に、年代別にスマートフォン利用の実態を中立的な視点で分析しました。
2017年3月には共同調査の総まとめとして、MMD研究所の吉本浩司所長と私が対談を行い、各調査の成果を振り返りながら、スマートフォンの利用スタイルの変化や、サービスプロバイダといった事業者が取り組むべきことについても話し合い、ホワイトペーパーにまとめました。
マカフィー×MMD研究所 特別対談ホワイトペーパー スマートフォン利用者の実態と生活変容について
年間を通じての共同調査実施の思い
今では、なくてはならないものになったスマートフォンですが、利用者の実態は、分かっているようで分かっていませんでした。今回の共同調査は、そうしたスマートフォン利用者の実態とライフスタイルの変化を、定量化して把握したいとの思いからスタートしました。 特に若年層の多くはスマートフォンを入り口に、インターネットを利用し始めています。そうしたなか本調査は、コミュニケーションやライフスタイルへの影響、またリアルタイムメディアやマスメディアへの信頼の揺らぎなど、近年の潮流を正確に理解するうえでも知っておきたいデータが得られました。
乳幼児のスマートフォン利用実態に関する調査
乳幼児の子育てでは、スマートフォンは「子育て手助けツール」と「子どものおもちゃ」の中間にあるといえます。未就学児をもつ母親を対象にした調査では、スマートフォンが教育・知育に役立っているとの回答がある一方で、「スマートフォンへの依存」「生活・健康への影響」「親子のコミュニケーションが減る」ことへの不安が大きいことが浮き彫りになりました。
対談では、母親が罪悪感を持ちながらも子どもにスマートフォンを使わせている現状があると分析。今後求められるサポートについても考えました。
・乳幼児のスマートフォン利用実態に関する調査(2016年3月29日)の詳細はこちら
中学生のスマートフォン利用実態調査
中学生を対象とした調査では、40.9%がスマートフォンを所有。子どもに携帯電話を持たせようと思った理由として保護者は「塾や習い事に通い始めた」ことを挙げましたが、私たちは、実際にはピアプレッシャー(「友達が持っているから欲しい」という気持ち)が親子ともに高まっているのではないかと考えました。
また中学生がスマートフォンを持つ際、一番したかったことはゲーム等より「LINE」であるというデータや、親子の意識差など興味深い数字がいくつもあがっています。
・中学生のスマートフォン利用実態調査(2016年7月4日)の詳細はこちら
高校生のスマートフォン利用実態調査
スマートフォンの活用が急速に進む高校生を対象とした調査では、90%がスマートフォンを「勉強に使用することがある」と答えるなど、積極的な活用ぶりが明らかになりました。スマートフォンの利点として「知りたいことをすぐに調べられる」「友達・家族との連絡を簡単に取れる」ことが上位にあがり、大人に近い利用法が見て取れます。
高校生年代ではTwitter利用率の伸びも特徴的で、「1対1」だけの世界から、「1対N」のコミュニケーションを使い分け始める時期といえます。私たちはこれらの傾向を踏まえて、対談のなかでは、ネット上の危険な行動についての認識にも注目しました。
・高校生のスマートフォン利用実態調査(2016年9月20日)の詳細はこちら
女性のスマートフォン利用実態調査
よく「スマートフォン普及に伴い、可処分時間の奪い合いが起きている」と指摘されます。女性を対象とした調査では、それぞれの世代のライフスタイルによって、スマートフォン利用における「選択肢」に大きな差がみられました。例えば女子高校生では「フリマアプリ」などの利用が多く、その目的は「お金の節約」が主になっています。
どの年代でも自分のニーズに合った使い方を楽しんでおり、うまく活用している様子がうかがえます。その一方で、セキュリティ対策への「甘さ」も目立ちました。そこで過去の調査データを交え、さらなる意識喚起に向けて話し合いました。
女性のスマートフォン利用実態調査(2017/1/18)の詳細はこちら
調査から見えてきたモバイル業界の今後
以上の結果を受けて今回の対談では、世代によるスマートフォン利用の違いが困っているレベルや場面、利用者の意識、リテラシーの格差につながっていることを指摘しました。そのため対策の実施や情報提供にあたっては、「唯一の解決策」ではなく各ターゲットに応じた段階的なサポートが必要と考えています。
マカフィーのようなセキュリティベンダーやモバイル関連事業者は、多様な角度でセキュリティを確保し快適に使うための多くのサービスを展開しています。しかし各調査を通じて、それらの選択肢が知られていないことが浮き彫りになっています。今後に向けてサービスの向上はもちろんのこと、消費者に周知していく工夫の重要性を再認識しました。
著者:マカフィー株式会社
CMSB事業本部 コンシューママーケティング本部
執行役員 本部長 青木 大知