今やパソコンよりも身近になったスマートフォン。
スマートフォンにもパソコンと同様にウイルス対策が必要です。メールやSNS、インターネットだけでなく、交通系カードやクレジットカードなどの決済機能も搭載するため、感染したときの被害は深刻です。
安全に利用するためにもウイルス対策アプリがインストールされているか、また有効化されているか確認しましょう。
ここでは、スマートフォンにも必須のウイルス対策アプリについて解説します。
目次
1:スマホのウイルス対策製品
アプリマーケットを見ると多くのウイルス対策アプリと名の付くアプリがありますが、有料・無料、そして機能も様々なものがあります。新種のウイルスへの対応やサポート、機能面のことを考えると下記のような大手セキュリティベンダーの製品を選択されることをお勧めします。
<マカフィー>マカフィー モバイル セキュリティ:公式サイト
<トレンドマイクロ>ウイルスバスター モバイル:公式サイト
<ノートン>ノートン モバイルセキュリティ:公式サイト
2:ウイルス対策アプリ選びで確認すべき6つの機能
各社様々な機能を搭載しており、判断に迷うところですが、ウイルス対策アプリを選ぶ際に知っておきたい代表的な機能は以下になります。これらの中で重視したい機能を絞って選択してくと良いでしょう。
それぞれを具体的に解説していきます。
2-1:不正アプリ対策
ウイルス対策アプリの最大の機能は、不正アプリ対策といえます。不正アプリはスマートフォンにとってのウイルスといえますので、最低限の対策として必要な機能です。
ただし、不正アプリの検出方法はベンダーによって異なります。例えば、不正アプリのデータベースと照らし合わせて検出する方法や、インストールの際のアクセス許可をチェックするもの、インターネット上での評価などを参考にするもの、またこれらを組み合わせたものなど、さまざまです。
2-2:Webフィルタリング
Webフィルタリング機能は、利用者がアクセスしようとするWebサイトの安全性をチェックし、不正アプリの配布サイトやフィッシングサイトなど、危険性の高いWebサイトへのアクセスに警告を表示するというものです。
特に、乗っ取られた端末から本人になりすまして送られるSNSやメッセージなどには、危険性の高いWebサイトへのリンクが貼られていることが多いので、不正アプリやフィッシング対策としても有効です。
2-3:盗難・紛失対策
パソコン用のウイルス対策ソフトと、スマートフォン用のウイルス対策アプリで決定的に異なる機能が、盗難・紛失対策です。常に持ち歩くことの多いスマートフォンは、同時に盗難や紛失に遭いやすいといえます。
盗難・紛失対策では、スマートフォンの位置情報の取得や、遠隔からのロックやデータ消去などがあります。アプリによっては、盗難や拾得でスマートフォンを手にした第三者の顔写真を撮影し、起動時に表示するというユニークな機能を持つアプリもあります。
2-4:バックアップ
バックアップ機能とは、例えば1日に1回の頻度でスマートフォンにあるデータを自動的にバックアップする(コピーを残しておく)というものです。
盗難や紛失に遭って、遠隔からスマートフォンを初期化した場合や、ランサムウェアによってデータを暗号化された場合などに有効な機能です。
多くの場合、バックアップデータはオンライン上に保存されるため、インターネットに接続できればどこでもリカバリーできることも魅力です。
2-5:Wi-Fiの安全チェック
スマートフォンは、通信パケットを節約するためにWi-Fiを利用することが多くなります。しかし、例えば無料で利用できるフリーWi-Fiなどでは、通信速度の向上などを理由に暗号化機能を有効にしていないケースが多いといわれています。
このような無料Wi-Fi環境では、サイバー犯罪者などが通信を盗聴すると、ユーザーがスマートフォンで入力した内容を盗み見られてしまいます。安全チェック機能は、こうした暗号化などを確認し、危険度が高い場合には利用者に知らせます。
2-6:パフォーマンス管理
パフォーマンス管理機能は、バッテリーやCPU、メモリなどの使用状況をモニターして、バッテリーが残り少なくなったり、CPUやメモリの使用量が大きいときに、消費量の激しいアプリを終了させるなどの対応を行う機能です。セキュリティとは直接関係ありませんが、モバイル機器ならではの便利な機能といえます。
このほかにも、内部ストレージのクリーンアップ機能や、データ通信量が上限を超えないように監視する機能、親が子どもに対して機能を制限できるペアレンタルコントロール機能、SNSなどへの個人情報の書き込みを制限する機能など、ウイルス対策アプリによって搭載する機能に違いがあります。自分のスマートフォンの使い方などを考慮して選びましょう。
3:安全性や機能性からオススメは有料アプリ
正規のアプリストアを見ると、かなりの数の無料ウイルス対策アプリがあります。しかし、無料だからといって安易にインストールしてしまうのは禁物です。正規のアプリストアだから不正なアプリではないとは言い切れないのが現状です。
アプリの評価で判断しようにも、最近はサイバー犯罪者がパソコンやスマートフォンを乗っ取り、不正アプリに高評価を与えるケースも増えています。アプリの評価は鵜吞みにせず、開発元の情報を確認したり、不自然な評価が短期間に集中したりしていないかなど冷静な判断が必要です。
大手のセキュリティベンダーが無料のウイルス対策アプリを提供しているケースもあります。しかし、無料版のアプリは機能が制限されていたり、サポートが用意されていなかったりします。なるべくなら、万一の保険の意味も兼ねて、有料のウイルス対策アプリを導入したいところです。
有料のウイルス対策アプリでは、1ユーザー、1年間というライセンス体系が一般的ですが、3年版、5年版を提供しているアプリもあります。年数が多い方が割安になりますし、年数をデバイスに振り分けられるものもあります。
例えば、1ユーザー、3年間のライセンスを、3デバイス、1年間として利用できます。さらに、パソコン用のウイルス対策アプリでスマートフォン版も付属するものもあります。使用環境に合わせて選ぶとよいでしょう。
4:スマホ端末のウイルス対策事情
4-1:Android端末に不正アプリが多い理由
Androidは、その仕様がオープンソースとして公開されているので、機能改善やアプリの制作が自由に行えます。また、AndroidのプログラムはWindowsに似ているため、経験があればAndroidアプリも比較的容易に作成できます。iPhoneやiPadといったiOS搭載スマートフォンも、アプリの開発環境はオープンになっているので、iOS向けアプリも制作しやすいといえます。
しかし、それぞれのアプリマーケットでは審査基準が異なります。公開前の事前審査が厳しく、不正アプリのストア登録が行われにくいAppStoreに対して、GooglePlayはストア登録がオープンで比較的簡単に公開できてしまう傾向がありました。
こういったアプリマーケットのスタンスの違いも流通するアプリの性質の違いとなって表れていると言えます。
4-2:増加する不正アプリ
いずれの場合もアプリが制作しやすいということは、悪意のあるアプリも制作できるということです。このため、以前からウイルスに近い動作をする不正アプリが確認されています。
例えば、通信機能を悪用して高額な請求を発生させたり、機能を乗っ取って通話やメールを盗聴したり、スマートフォン自体を乗っ取って使えなくしたりします。最近では、スマートフォン向けのランサムウェア(身代金要求型ウイルス)や、コインマイナー(仮想通貨発掘ウイルス)なども確認されています。
こうした不正アプリへの対策は、「正規のアプリストアを利用する」こととされていました。Androidアプリは、Googleの正規アプリストア「Google Play」以外でも配布が可能になっています。そのため、メールやSNSのメッセージで怪しいサイトに誘導してアプリをダウンロードさせるような手口が多くありました。
正規のアプリストアを利用するのは、こうした手口を防ぐためでした。正規のアプリストアでは、そこに掲載するアプリに対して審査が行われており、不正なアプリが公開されないようにしています。
しかし、その審査をすり抜けるケースも増えています。例えば、正しいアプリで審査を通過した後で、アップデートと称して不正な機能を追加するケースなどがあります。このようなケースは、Appleの正規のアプリストア「App Store」も同様で、違法に審査を通過した不正アプリをダウンロードしないように注意したいところです。
4-3:不正アプリへの対策
現在ではもはや、正規のアプリストアであっても100%安全とはいえなくなってきています。不正アプリをインストールしてしまわないためには、アプリをインストールする際に表示される、機能へのアクセス許可を確認することが大切です。
例えば、スマートフォンを懐中電灯代わりに使うアプリは、連絡帳にアクセスする必要はありません。それなのに連絡帳へのアクセス許可がある場合には、疑ってみるべきでしょう。
また、スマートフォンに存在する脆弱性(セキュリティホール)を悪用する不正アプリも多いため、アップデートの通知が来たらすぐに適用することも心がけましょう。こうしたことを利用者に代わって実施したり、警告してくれるのがウイルス対策アプリです。これを導入することで、うっかり不正アプリをインストールしてしまうことを防げるのです。
5:ウイルス対策アプリのインストール状況を確認しよう
5-1:プリインストールされている場合
大手通信キャリアでスマートフォン(Android端末)を購入した場合は、大手のセキュリティベンダーによるウイルス対策アプリがプリインストールされていることが多いので、これを使うのがベストといえます。
ただし、ちゃんとアプリアイコンをタップして起動しないと機能が有効にならないため、忘れずに起動させましょう。また、プリインストールされていない機種もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
5-2:プリインストールされていない場合
量販店で購入したスマートフォンや、MVNO端末、SIMフリー端末、中古品などには、ウイルス対策アプリがプリインストールされていないことが多いです。この場合には、自分でウイルス対策アプリを導入する必要があります。
また、中古品を購入した場合は、OSのバージョンが古く、脆弱性が存在することもあります。新しいバージョンにアップデートできない機種もあるので、ウイルス対策アプリがより重要になるといえます。
関連記事6:まとめ
スマートフォンは、従来の電話機能だけでなく、複数のインターネット接続機能による情報収集や情報共有が可能で、しかもSNSや検索、ゲームや読書など多彩なアプリによって、さまざまな端末に早変わりします。さらには複数の決済機能も搭載することから、生活になくてはならないものとなっています。
しかし、サイバー犯罪者はそうした便利さにつけ込んで悪事を働きます。特に不正アプリには危険性の高いものが多く、乗っ取られてしまった場合にはスマートフォンの情報を盗まれて不正利用されてしまうばかりか、持ち主が知らないうちに加害者になってしまうこともあります。スマートフォンを安全に活用するためにも、ウイルス対策アプリは必須のものと言えます。
著者:マカフィー株式会社 マーケティング本部