ネットを見ていて購入手続きをしてもいないのに、「購入ありがとうございました」などといった表示が出たことはありませんか?この手の表示は相手の不安につけ込む典型的な詐欺の手口ですので無視することが一番です。
こうした手口は年齢認証や詳細情報のボタンをクリックしただけで、購入完了画面が表示されてしまう「ワンクリック詐欺」。突然表示されるので、あせってしまって連絡してしまう・・、それがこの詐欺の目的です。個人情報を何も入力していないのに購入が完了するはずはありません。まずは落ち着いて対処することが重要です。いざというとき冷静に対処するためには、手口を知っておくことが有効です。ここでは、ワンクリック詐欺の特徴や対処法について説明します。犯罪者の狙いを知って、つけこまれないようにしましょう。
目次
1:ワンクリック詐欺の表示パターン
ワンクリック詐欺は手口や症状を知っておけば冷静に対処ができます。まずは、どのようなパターンがあるのかを見てみましょう。
1-1 Webの閲覧中に表示される
Webサイトを閲覧していて、「動画を見る」ボタンや年齢認証の「私は18歳以上です」など、何らかのボタンをクリック(タップ)した際に、サービスの契約完了や動画の購入完了などの画面が表示されます。
1-2 メールやSNSのメッセージのリンククリックで表示される
サービスのお知らせメールや、SNSのメッセージなどに記載されているリンクをクリック(タップ)した際に、Webブラウザが起動し、サービスの契約完了や動画の購入完了などの画面が表示される。また、「利用サービスと連携しているサービスの支払いが未納です」などといったメールが届くこともあります。
1-3 パソコンやスマートフォンの識別番号などが表示される
ユーザーの情報として、パソコンの固有識別番号やスマートフォンの個体識別番号、利用しているインターネットプロバイダー情報などが表示され、いかにもユーザー個人を認識しているかのように見せかけます。
1-4 請求画面が消えない
Webブラウザを閉じて再び起動しても、同じ購入完了画面や請求画面が繰り返し表示されることがあります。
2:ワンクリック詐欺の特徴
2-1 事前の説明が一切ない
「ボタンのクリックで購入が完了します」といった説明などが一切ありません。また、通常は表示されるべき利用規約が表示されていません。あるいは非常に見づらい場所に小さく表示されていることがあります。
2-2 脅迫じみた記載がある
購入完了画面、あるいはサービス申込完了画面には、「○日以内に△△万円を振り込まないと、法的措置を講じる」などと、脅迫めいた記載があります。
2-3 支払い方法が「銀行振込」のみになる
サービスやコンテンツの紹介画面では、クレジットカードなど複数の支払い方法があると書いてあったのに、完了画面では「銀行振込」のみに限定されていたりします。
2-4 問い合わせ先が記載されている
サービスを提供している会社の詳細は記載されていないのに、「お客様問い合わせ窓口」や「消費者相談センター」といった、問い合わせ先のメールアドレスや電話番号が明記されています。
3:ワンクリック詐欺の対処法
3-1 無視する
ワンクリック詐欺の画面が表示されたら、無視することが一番です。購入完了画面はクリックで自動的に表示されるもので、ユーザー個人を認識しているわけではありません。パソコンやスマートフォンの識別番号やインターネットプロバイダーの情報が表示されることもありますが、これらはWebブラウザから送られているものなので、サイトではこの情報を表示しているだけです。
3-2 画面を閉じて、キャッシュをクリアする
ワンクリック詐欺の画面が表示されも、問い合わせや振込は行わず、画面を閉じて二度とアクセスしないようにしましょう。請求画面が消えないときは、Webブラウザの設定画面で履歴やキャッシュ(一時ファイル)を削除しましょう。それでも表示される場合には、不正なプログラムをインストールされた可能性があるので、セキュリティ対策ソフトでスキャンを実行しましょう。
4:ワンクリック詐欺に遭わないために
4-1 怪しいサイトには近づかない
インターネットでは、珍しい動画が無料で見られる、面白そうなゲームが無料でプレイできるなど、美味しい話には必ず裏があると考えた方がいいでしょう。無料で提供するからには、どこかで何らかの見返りを要求されます。こうした美味しい話には慎重に取り組み、少しでも怪しい部分があるようならアクセスをやめましょう。
4-2 料金を支払わない
ワンクリック詐欺では、正式に契約が成り立っていません。そのため、表示された料金を支払う必要はありません。購入完了画面などは、犯罪者がリンク先に設置しているだけで、誰がクリックしても同じ画面が表示されるようになっているだけです。どんなに脅迫めいた文面でも、相手はユーザーの名前すら知らないのです。
4-3 問い合わせは行わない
購入完了画面などは、単に表示されるだけで、購入の手続きを行った結果で表示されているわけではありません。逆に、問い合わせ先に連絡してしまうと個人が特定されてしまうので、問い合わせは行わないようにしましょう。
5:詐欺に遭ってしまったら
5-1 連絡してしまった~公的機関に相談する
購入完了画面などに記載されている連絡先に連絡してしまうと、支払いを強要されてしまいます。しかし、ワンクリック詐欺は法的に正式な契約と見なされないことが多く、契約の無効を主張できます。連絡を一切やめて、相手からの電話も無視します。あまりにしつこい場合には、自治体の相談センターや警察に相談しましょう。
5-2 料金を支払ってしまった~警察・弁護士などに相談する
ワンクリック詐欺は精神的に追い込むように作られているので、怖くて料金を支払ってしまうケースも多くあります。一度支払ってしまうと、犯罪者から「このユーザーはお金を払う」と思われてしまい、さまざまな詐欺や恐喝まがいの被害を受けてしまいます。警察や弁護士などに相談しましょう。 犯罪者はワナを仕掛けて引っかかるのを待っているだけですので、裁判など手間のかかることはしません。
6:ワンクリック詐欺の目的と手口
6-1 目的
ワンクリック詐欺の目的は金銭です。契約が完了したように見せかけてユーザーを動揺させて、そこにつけ込んで金銭を得ようとします。冷静に考えれば、ユーザーは契約の申し込みもしていませんし、サービスの概要さえ知らないかもしれません。しかし、申込完了を事実と思わせ、高額な金額を提示することで冷静さを失わせるのです。
6-2 手口
ワンクリック詐欺の手口は非常に単純です。契約完了のページを用意し、そこへのリンクを様々な場所に設置したり、メールで不特定多数に送信すれば、後は待つだけでいいのです。問い合わせ先の電話は、犯罪者の携帯電話に転送されるようにしておけば、犯罪者がどこにいても対応できます。投資費用が少なくて済み、うまくユーザーが引っかかってくれれば高額な金銭を手にすることができます。犯罪者は、なるべくお金や手間をかけずに金銭を得ようとしているのです。
7:まとめ
インターネットには様々な情報があふれており、欲しい情報を手にすることができます。その一方で、インターネットを悪用した犯罪もなくなることがありません。特に、人間の思い込みや勘違いなどにつけ込む犯罪は、大がかりなシステムなどが不要なため、アナログで古い手法ですが現在でも通用します。インターネットには危険なサイトが存在していることも意識し、意図しないサイトが表示されたときには冷静に対処するようにしましょう。また、すべて自分で解決しようとせず、同じ被害を受ける人を増やさないためにも、周囲や警察などに相談することも大切です。
著者:マカフィー株式会社 マーケティング本部